【西川貴教インタビュー後編】行動し続ける熱量|クリエイティブとは

著名なクリエイターにお話を聞くシリーズ企画「クリエイティブとは」。西川貴教さんインタビュー後編です。熱量高く動き続けるには。ものづくりにかける想いを聞きました。

継続の秘訣は“最初の熱”と“別の理由” ――クリエイティブとはアーティスト・西川貴教インタビュー[後編]

クリエイターとして注目の著名人のもとへ、自身も同人作家である編集部スタッフが伺い、お話を聞くシリーズ企画「クリエイティブとは」。今回は、2016年にコミックマーケットに参加したアーティスト、西川貴教さん。前編では、T.M.Revolutionデビュー20周年という節目に、新たな仕掛けとして”西川貴教”名義での活動をスタートした理由をお聞きしました。そこには、クリエイターとしての狙いや喜びがありました。今回の後編ではさらに、西川さんのものづくりにかける想いなどについて触れていきます。

ターニングポイントになった舞台

前回のインタビューで西川さんは、「新しいことに挑戦するのは勇気もいるし、挫折も味わうが、それでも挑戦する理由は、それを恐れていたらそこまでと思うから」「何かを学んだり、吸収したりって、いつでもいい。そのタイミングは自分で作るもの。誰かがくれるものではないから、自分で迎えにいくしかない」と語ってくれました。そんな想いになったのは、実はある舞台での出来事がきっかけでした。

「僕が最初にお芝居をやらせていただいたのは、『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』(1999年上演)という作品で、いきなり主演だったんです。その直後、今度は『ビューティフルライフ』(2000年放映)というドラマでも役をいただいたんですけど、当時は、役者を目指している人たちに対して失礼な気がしていて…。ですから、それからは音楽以外のお仕事をお断りしている時期もあったんです。そんな中、2年もかけて口説いてくださるプロデューサーに根負けして、『ハウ・トゥー・サクシード』(2007年上演)という舞台に久々に出演することにしたんです。プロデューサーの中では、その役を演じている僕が見えているからキャスティングしたいと思ってくれたんだろうし、うまくいかなかったらその人のせいだと思って(笑)。でも、結果的にその舞台が大きなターニングポイントになりました。というのも、『やるならとことんやらなきゃ』と思っていたら、すごく楽しくなったんです。チャンスをもらえる人は少ないし、そのチャンスをものにできるかどうかは自分次第。だったら、一度やってみるという考え方にシフトチェンジしよう、と。それ以降は、お芝居だけでなく、すべてのことにおいてそういうスタンスになったと思います」

編集スタッフの質問をしっかりと受け止めてくれる西川さん。

編集スタッフの質問をしっかりと受け止めてくれる西川さん。

続けるためには、目的とは別の理由が必要

その後、西川さんは地元滋賀県で「イナズマロック フェス」を主催します。2009年に始まったこのフェスは今年で10回を迎え、西日本最大級の野外ロックフェスへと成長しました。開催に伴う苦労は想像に難くないですが、それでも続けられる秘訣は、母への愛でした。

「あのフェスを立ち上げたのは、僕のできることで地域やそこに住む人たちに何ができるのかという想いからでした。それに、母の病のことがあって、滋賀に帰る理由を作りたいという想いもありました。だからここまで続けられたとも思います。何かをやるって、それ自体は理由やきっかけがなくてもできると思うんです。でも、それを続けていくためには、大きな目的に加えて何かもうひとつ、それを補ってくれる理由を自分の中で見い出すことが必要だと思うんです」

やりたいことをやり続けるために

編集部スタッフの同人誌を手にする西川さん。一番緊張しました。

編集部スタッフの同人誌を手にする西川さん。一番緊張しました。

自らの使命を追求し続ける姿にバイタリティーを感じる一方、すべての物事をスマートに行っているようにも見える西川さん。一日は24時間。誰にでも平等に与えられた時間の中で、焦りや苦悩といった素振りを一切見せない姿に憧れの念を抱いていることをお伝えすると、「いやいや、僕も毎日悩んでいます」と笑いながらこう続けてくれました。

「やりたいこととやらなくてはいけないことの両立を図るのは、すごく難しいですよね。『イナズマロック フェス』だって、僕が主催ということでやっていますが、一人ではできないことばかりですもん。だから、できることとできないことの見極めは、しっかりしなくてはいけないと思います。そして、できない部分はみんなに協力してもらう。信頼して任せられる人を見つけられるかどうかが、すごく大切です。その協力があってこそ広げていける。そして、そのときに一番重要になってくるのが、自分がなぜこれをやりたいのかっていう理由をどれだけの熱を持って人に伝えられるかだと思うんですよね。人から人への伝言ゲームになると、熱はどんどん減っていくもの。誰かに伝えた時点で、最初の熱量は半分以下に減っていると思ったほうがいい。だから、最初の熱は相当ないとダメなんです。

自分の熱というものに対して、能動的に動ける勇気と行動力をどれだけ持っているか。何かを犠牲にできるか。このサイトを見てくださる方の中には、おそらく会社勤めをしながらものづくりをしている方も多いと思います。大変なこともたくさんあると思いますが、誰かに『じゃあ、やめればいいじゃん』って言われてもやめられないでしょう?(笑)僕は、それでいいと思うんですよ。人に惑わされる必要なんてないんだから。自分がやりたいことをやる。それが一番だと思います。そして願わくば、そのように頑張っている人の個性を大事にしてあげられる世の中になって欲しいと思いますね」

編集部コメント

テレビなどを通して私たちの目に映る西川さんは、さまざまな活動において自身の魅力を最大限に発揮し、常に順風満帆といえる道を歩んできたように見えました。しかし素顔の西川さんは、決して器用なタイプではないのかもしれません。

そして、西川さんは誰よりもそのことを自覚し、自身のやりたいこと、やるべきこと、できること、さらにはできないことも受け止め、一歩一歩丁寧にその歩みを進めてきたのだと思います。

だからこそ、その言葉、その行動には説得力がありました。今回お話を伺って強く印象に残ったのは、「人の目を通して新しい自分を発見する」という話と、「自分の熱を大事にすべき、やりたいことについては、人に惑わされる必要はない」という話です。

これは、「同人活動だから自分の思う通りに作ればいいと考える一方で、なかなか理解を得られないのが辛い、もっと読んで欲しい」という、同人作家にはよくある悩みを持つ人に、新たな視点で考えるきっかけになりそうだと思いました。

最後に西川さんの今後が気になり、「これからの野望は?」と聞くと、「もう仕込んでいるので」とニヤリとされました。続けて、「やりたいことをやるのが一番モチベーションに繋がるんですよね」と話す姿に、歌手や役者といったジャンルを超越した、“表現者・西川貴教”の在り方を見た気がしました。

 

西川貴教 プロフィール

 1970年9月19日生まれ。滋賀県出身。1996年5月、ソロプロジェクト「T.M.Revolution」としてシングル「独裁 -monopolize-」でデビュー。キャッチーな楽曲、観る者を魅了する完成されたステージ、圧倒的なライブパフォーマンスに定評があり、「HIGH PRESSURE」「HOT LIMIT」「WHITE BREATH」「INVOKE」など大ヒット曲を連発する。故郷滋賀県から初代「滋賀ふるさと観光大使」に任命され、県初の大型野外ロックフェス「イナズマロック フェス」を主催、地方自治体の協力のもと、毎年滋賀県にて開催している。2016年5月にはT.M.Revolutionデビュー20周年を迎え、オールタイム・ベストアルバムをリリース。オリコンアルバムチャートで1位を獲得し、2017年5月には20周年プロジェクトの集大成としてさいたまスーパーアリーナ2days公演を開催。2017年からは西川貴教名義での音楽活動を開始。11月に2ndシングル「His/Story / Roll The Dice」をリリース。常に新しい挑戦を続けている。

 

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