1ヶ月で作れた! はじめての同人誌づくり(2)企画・体験編

ライター:さいとうよしかず

 

「1ヶ月で作れた!はじめての同人誌づくり」2回目のスタートです。前回は、同人誌制作未経験の私が、同人誌を作って頒布をする企画にチャレンジすることになりました。そして、同人誌なら「自由に好きな本を作ってかまわない」ので、以前から興味を持っていたキャンプをテーマにした本を企画しました。そして、オールジャンルの同人誌即売会である「コミティア」で頒布することを決め、無事、出展申し込みを完了しました。

今回の「1ヶ月で作れた!はじめての同人誌づくり」は、「企画・体験編」として、実際に同人誌を書くためのネタを作ります。同人誌の企画を考えたり、実店舗やインターネットで情報収集したり、実際に体験したり……といった内容をお届けします。

企画や構成を考えてみた

まずは、同人誌を作るにあたって考えたいのが企画や構成です。前回、「家にいながらキャンプ気分を味わう方法」をテーマに、そのノウハウを記載することに決めました。しかし、それだけでは漠然としていて、何を掲載したらいいのか迷ってしまいます。そこで、まずは企画骨子を固め、それを基に大まかな構成や台割を考えました。台割というのは出版用語で、ページごとにタイトルや内容などを記載するものだと思ってください。今回は、私の手法で作っていますが、同人誌づくりは千差万別です。ほかの方法もあると思うので、皆さんの作り方に応用できる部分がひとつでもあれば幸いです。

企画骨子を詰める

企画骨子を考える際に私がしたことは、自分が「家にいながらキャンプ気分を味わう方法」と聞いて、「どんな情報が載っていたら買いたくなるか?」を考えるということです。

キャンプの楽しみといえば、「テントでの寝泊まり」や「焚火を囲んでの野外料理」「自然と親しむアクティビティ」などが挙げられます。この中で、「自然と親しむアクティビティ」は、さすがに「家でキャンプ」とは離れていますので、残り2つが記事の主題となるでしょう。そうなれば、読者にとって載っていたら買いたくなる情報は、「どうすれば家でテントを張れるか?」「どうすれば家で野外料理ができるか?」になると考えられます。特に、「どうすれば家でテントを張れるか?」というのは、自分でも見当がつきません。ですから、情報としてはかなりウリになると思います。

また、野外料理に関しては、自宅のベランダや屋上、庭などで料理をする人もいるでしょうから、それほど目新しい情報ではない気がしました。しかし、やり方ではなく、レシピ集とすればどうでしょう。仮に、今回作る同人誌が自宅でキャンプをするための内容しかない場合、買ってくれた人と環境などが異なれば家でキャンプができるかどうかはわかりません。しかし、レシピ集であれば本物のキャンプはもちろん、自宅のキッチンで作る料理にも使えます。実際、同人誌即売会ではレシピ系の本を多く見かけるので、ニーズもあるだろうと考えました。

タイトルを考えてみる

企画骨子が決まったので、次にタイトルを決めます。私の場合は、仮タイトルを早めに決めてしまいます。タイトルは印刷用データを作成するときまで変えることができますし、タイトルを決めてから時間があると、「本当にそのタイトルでいいのか?」「もっと適切なタイトルがあるのではないか?」など、考える時間ができるからです。今回は、ベースとなった「ゆるキャン△」をもじって、「いえキャン△□」としました!

構成や台割も決めよう

企画骨子とタイトルを考えたあとは、構成を考えます。必要な要素として考えたのが、「なぜ家でキャンプなのか?」を説明する前書き、「家でキャンプ」を始めるための道具探しをする準備、実際に「家でキャンプ」をした体験記です。これに、レシピページと後書きと奥付があれば十分でしょう。

次に、台割を作ってみます。台割とは、どのページにどのような記事を載せるかを決めた表のようなものです。今回、簡単な台割を作ってみると以下のようになりました。

「いえキャン△□」台割

  • 1:表紙
  • 2:白
  • 3:前書き
  • 4~5:準備
  • 6~7:体験記
  • 8~13:レシピ
  • 14:後書き&奥付
  • 15:白
  • 16:裏表紙

同人誌に限らず、初めて台割を作るときは、掲載する内容の順番だったり、記事によってどれくらのページ数を割り当てればいいのかだったりなど、いろいろ迷うかもしれません。ですが、迷う必要はなくて、「こんな感じかな?」というレベルで十分です。なぜかというと、本づくりを進めていくうちに、いっぱい書きたいことができたり、思いのほか書くことがなかったりして、予定どおりにはいかないことがあるからです。そのときは台割を修正し、アップデートすればいいと私は思っています。なお、ページ数は仮で16ページとしました。本を作るときは、印刷の関係で4の倍数にしておくと良いのです。詳細は印刷編で紹介します。

本を作るためのリサーチをしよう

続いては、実際に本の中身を作るための調査を行います。今回作るのは情報系の同人誌ですので、より正確な内容を読者に届けるために調査が必要です。また、調査をしている段階でおもしろい発見などがあれば、同人誌のコンテンツも充実していきます。もちろん、豊富な知識があれば調査はいらないという人もいるかもしれませんが、今回は私も初挑戦の内容なので、リサーチを行いました。

屋上でキャンプするための情報収集

テントコットなら、自宅の屋上などにペグなしで置ける。

テントコットなら、自宅の屋上などにペグなしで置ける。

「どうすれば家でテントを張れるか?」という項目について調査する段階で一番の課題となったのは、屋外以外でテントを張る方法です。庭であれば、「ペグ」というテントを固定する釘みたいなものが打てますが、室内などではそうもいきません。今回、私は屋上にテントを張ろうと考えましたが、当然、コンクリートの床にもペグは打てないのです。

そこで、実際にアウトドアショップで調査をしてみると、やはりそれらしいものはありませんでした。しかし、テントではなく「ターフ」という、運動会で見かけるテントの上だけのような物であれば、脚の部分に重りをつけて動かないようにしています。そこで、店員さんに「重りをつければテントを固定できるか?」「この重りは売っているのか?」などを質問しました。ですが、店員さんとしても確証がない上、重り1つの値段もかなり高額なので、一式そろえるとなると安いテントの値段よりも高くなるおそれがあります。

次に、インターネットのショッピングサイトなどで調査をしましたが、これも空振りです。そして、あきらめかけたところに天の助けともいえるWeb広告が表示されました。そこには、「テントコット」と呼ばれる自立型のテントが表示されており、画像を見る限りテントから地面に向けて固定用のロープなどが張られていません。そこで「もしや!」と思い、リンク先をクリックしてみると、やはりペグなどを使用しなくてもテントを組み立てられることがわかりました。

そこで、この商品なら問題なく使えそうだと確信したのです。このテントコットは、コットと呼ばれる簡易ベッドのようなものに、テントの機能を持たせた物です。アメリカなどでは結構販売されているようですが、日本では知らない人もいると思うので、読者にとっていい情報になると思いました。お値段は高いのですが、ペグを打たないテントはほかに見つからなそうですし、自宅でキャンプをする夢を叶えるために購入に踏み切りました。それに、今後自宅以外でキャンプをするとなったときでも普通のテントとしても使えますので、使い方の幅が広そうです。

キャンプレシピを収集し、自分なりにカスタマイズ

ピザストーンなど一般的ではない情報を入れると読者が喜ぶかも。

ピザストーンなど一般的ではない情報を入れると読者が喜ぶかも。

野外レシピは、本やインターネットでたくさん収集できます。しかし、そのままではコンテンツを盗んだことになりますので、参考程度にとどめます。あとは、自分なりに調味料に工夫したり、おもしろい道具を使ったりして、アレンジすることにしました。

最終的にメニューに選んだのは「ポップコーン」や「ピザ」「アヒージョ」「ローストチキン」などです。例えばピザは、ベースとなるピザ生地や溶けるチーズ、具材、ケチャップなどは、すべてスーパーやネットショップで購入できる市販の物です。

しかし、このままではただのピザなので、「ピザストーン」というアイテムを投入しました。ピザストーンは、2,000円前後で買えるピザ専用の板石です。この上にピザ生地をのせて焼くと、「カリッ」と仕上がるので同人誌を読んでくれる人にぜひおすすめしたいと考えました。この調理アイテムをひとつ加えることで、同人誌のオリジナリティを高めているのです。

屋上でキャンプしてみた!

事前にリサーチが終わったら、いざ実践です。まずは、モデルにした「いえキャン△」と同様に温泉を求めてスーパー銭湯に行きました。次に、自宅の屋上に戻り、インターネット通販で届いたテントコットを組み立てます。最初はわからないところもありましたが、コツをつかめば簡単でした。併せて、机や椅子など、手持ちで使えるアイテムを使い、居住スペースの準備は完了です。なお、同人誌を作るために、テントコットはパッケージを取り出すところから組み立ての手順まで、念のためすべて写真撮影しておきました。

居住スペースの準備ができたら、次は食べ物です。近所のスーパーマーケットで食材をそろえ、掲載用にいくつかの料理をしました。あとは、のんびりと食事をし、音楽を聴いたり、本を読んだりして過ごしました。実際にテントで寝てみると、多少の騒音は聞こえるものの、キャンプ場で寝泊まりするような静かな時間を過ごせました。

なお、食べ物の写真は、体験ページに載せる以外にも、レシピページ用にたくさん必要です。そこで、別の機会に家族や友人を呼んでバーベキューを行い、実際に作って食べてみました。中には完全に失敗したような料理もありましたが、それはそれで「この料理は難しい」という情報としてとっておきます。

いずれにせよ、掲載するネタを多くストックすることは、同人誌制作を進めていく上で便利です。例えば、予定していたほかの記事が落ちたときにリカバリーにも使えます。逆に、締め切り前にネタが足りないとなれば、大事な新刊が落ちることになるかもしれません。ですから、ネタは多めに準備したほうがいいでしょう。

まとめ:失敗してもやり直せばいいから、まずはチャンレンジ!

今回の「1ヶ月で作れた!はじめての同人誌づくり」では、企画を詰めた上で構成案や台割を作成し、実際に体験するところまで行いました。私のライター経験に基づいた流れで行っていますが、今回書いたような手順にとらわれずに、自由に作ることもできます。何事にも縛られずに本を作れるのが同人誌の良さだと思っていますので、気軽にチャレンジしてみてください。

編集部コメント

本文をいきなり書き始めるのではなく、台枠を作ったり、調査をしたり、写真を多めにとって置いたり、先を見越した準備の必要性が良くわかりました。

次回の「1ヶ月で作れた! はじめての同人誌づくり」は執筆編です。原稿の書き方を紹介していますので、ぜひ参考にしてください。



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