同人誌デザイン入門編(1) 本の基礎知識:サイズや綴じ方、各部名称を解説

ライター : 上林将司

同人誌を作っているとき、友人や印刷業者と話していて「のどって何?」「ノンブルって?」など、本の名称についてわからないことがあったり、悩んだりしたことはありませんか? 普段、何気なく手にしている本ですが、その大きさには規則性があったり、各部位に細かく名前がついていたりします。

そこで、「同人誌デザイン入門編」では、同人誌を作る際に知っておくと便利な情報を紹介していきます。第1回は「本」についての基礎知識で、本に関する用語や知識を、図版とともにまとめてご紹介していきます。前述した「のど」や「ノンブル」についての説明もありますよ!

本のサイズ(判型)について

最初は本のサイズについて紹介しましょう。本のサイズは判型(はんがた、はんけい)と呼ばれる規格で表記されることが多いです。皆さんも「B5判(びーごはん)」や「A4判(えーよんはん)」など、一度は見聞きしたことがあると思います。A判、B判という言葉が出てきましたが、これは紙の大きさの規格のことです。紙の規格は世界中でいくつもありますが、日本ではA判とB判がよく使われています。

本のサイズの由来とは?

A判は元々ドイツで生まれた規格で、現在では、国際規格となっています。B判は日本の独自規格で、美濃紙(みのがみ)のサイズをもとに作られたといわれています。どちらも縦横の比率は1:√2で、これは半分に折っても、そのまた半分に折っても縦横同じ比率になる「白銀比」となっています。なぜこのような比率なのかというと、本は通常、いくつかのページを大きな紙に印刷し、それを折って製本します。このとき白銀比を使っていると、何回折り曲げても同じ比率になるため、紙のロスが少なくなる利点があるからだそうです。

A判とB判の違い

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A判よりB判のほうが大きい。

A判、B判ともに基準となる大きさは「0」(ゼロ)で、「A0」(エーゼロ)「B0」(ビーゼロ)と表記されます。A0を半分に折ったら「A1」、さらに半分に折ると「A2」というように、「紙の規格+折った回数」でその大きさがわかるしくみです。数字が大きくなるほど紙のサイズが小さくなっていくのは、こういう理由があったのです。A0判は約1平方メートルなのに対して、B0判は約1.5平方メートルと、面積にして約1.5倍になります。

同人誌で多い判型は?

同人誌づくりをするとき、どのサイズにするのか検討したことがある人もいるかもしれませんね。私が同人イベントで買う同人誌は、A5判やB5判で作られているものが多いですが、もちろん決まりはありません。下に一般的な書籍や雑誌に使われることが多い判型をリストアップしてみましたので、現物をお持ちの方は実際に手に取ってみて、自分の作る同人誌のサイズを決める参考にしてみてください。

一般的な雑誌・書籍のサイズ
  判型 寸法(mm)
漫画週刊誌、大衆週刊誌
B5判
182×257
漫画単行本
B6判
128×182
小説文庫本
A6判
105×148
写真集、画集
A4判
210×297

A判、B判のほかにも、A5判よりやや大きい「菊判」、新聞の名称からついた「タブロイド判」など多くの種類があります。同人誌づくりにはあまり使われないサイズですが、もし興味が出てきたら調べてみてください。

本の各部名称を覚えよう

続いて、本のいろいろなパーツの名称を紹介していきましょう。家庭用プリンターで同人誌を作っているのであれば、あまり意識することはないかもしれません。しかし、大部数の同人誌を印刷する場合、印刷業者を利用されるときなどに役立つと思いますので、知っておいても損はありません。

本の表面は何と呼ぶ?

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本の表面の名称を覚えると印刷所とのやりとりも安心。

本の表面は「表紙」「背表紙」「裏表紙」に分けて呼ばれています。表紙は「本の顔」ともいわれるように、見てもらう人にどのような内容の本なのかを伝える大事な部分です。背表紙は本棚に差し込まれたときにわかりやすいように、書名、著者名、出版社名など、最低限の情報を読みやすく入れる場合が多いです。裏表紙は、コミックや小説なら本のあらすじなど、雑誌の場合は広告などが載っていますね。

一方で同人誌の裏表紙は、何を掲載するのでしょうか。長年同人誌を作っている知人に聞いたところ、作った日付や作家のSNSアカウント(いわゆるクレジットですね)、どのような内容なのか、などを入れることが多いようですよ(もちろんルールではありません)。

なお、商業誌や同人誌などでは表紙のことを「表1」、表紙の裏を「表2」、裏表紙の裏を「表3」、裏表紙を「表4」と呼んでいます。また、表紙以外の部分を「本文」というように分けて呼んでいます。これで、印刷時に混乱しないようになっているのです。

表紙周り以外では、上部分を「天(てん)」、本を開く側にある部分を「小口(こぐち)」、下面を「地(ち)」といいます。「のど」は小口の反対側で、本を開いたときに綴じられている部分です。

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カバーや帯などをつけると商業誌のような豪華さが出るでしょう。

なお、本を「カバー」や「ジャケット」など、別の紙で包む場合もあります。カバーは表紙の代わりになるので、書籍の場合、表紙をモノクロで作り、カバーをカラーで印刷することもあります。カバーの折り返された部分は「そで」といいます。

また、同様に本を包む紙で、本よりも小さいサイズのものを「帯」といいます。こちらは、本のキャッチコピーや内容など、宣伝内容を書いていることが多いです。カバーや表紙のデザインに影響せずに、読者に知ってほしい情報を載せられるので、同人誌にも応用できそうですね。

本の中面は何と呼ぶ?

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本の中面の名称も覚えると便利。

続いては、本の中面です。こちらも、実は細かく名前がついています。ここでは小説を例に見ていきましょう。

まず本を開いて、文字が入っている部分を「版面(はんづら)」といいます。通常はここをはみ出さないように文章や写真を入れていきます。版面からはみ出しているスペースは、上部分が「天」、左右の端を「小口」、下部分を「地」と呼んでいます。天部分に章のタイトルなどが入っていますが、これを「柱」といいます。ページ番号のことは「ノンブル」といいます。ノンブルとは、フランス語の「number」に由来します。

なお、雑誌では、さらに多くの要素が入っていますが、まずは、この6つを覚えておきましょう。

本の綴じ方について

印刷したたくさんの紙をひとつにまとめなければ、本になりません。そのまとめ方を「綴じ」と呼び、いくつかの種類があります。ここでは、同人誌で多く使われている「無線綴じ(むせんとじ)」「平綴じ(ひらとじ)」「中綴じ(なかとじ)」の3種類について紹介しましょう。

無線綴じ

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無線綴じは背を接着しているため、開いたときにのど側が見づらくなる。

本の背の部分をのりで固め、表紙に接着する綴じ方です。同人誌でもオフセット印刷をした場合は、この無線綴じが多くなります。小説の文庫本や雑誌などでよく使われていますね。のりで紙をしっかりと固定するので丈夫で長持ちしますが、無理にページを開くと背が折れてしまいますから、本を大事にしたい人は注意が必要です。

平綴じ

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平綴じは背を針金でとめているため、開いたときにのど側は10mm前後見えない。

紙ののどの部分を針金で固定して、さらにのりで固める「平綴じ」という手法です。平綴じは無線綴じよりもページは開きづらくなりますが、丈夫な本になります。同人誌では、「袋折り」の本を印刷する場合にも使われます。袋折りとは、片面だけを印刷し、印刷された面を表にして半分に折り、袋のようにすること。両面印刷できないときに便利です。家庭用のプリンターを使って同人誌を作る場合は、A4の紙を2つ折りにしてA5にするか、B5の紙を使ってB6にすると作りやすいと思います。

中綴じ

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中綴じは本を見開いたときに、紙に負担がかかりにくく見やすい。

二つ折りにした紙の折り目のところを針金(ホチキスのような形を想像してください)で固定する綴じ方です。こちらは、同人誌でよく見かける手法で、平綴じと同様にA4やB5の紙に印刷して、半分に折ると作りやすいと思います。大衆週刊誌やページ数の少ない家電のマニュアルなどでよく使われます。

中綴じは本の背がなくなりますが、開きやすくのどの部分までしっかり読みやすいのが特徴です。針金を丁寧に外せばきれいに本を解体できますから、特定のページだけを残しておくといったときにも便利です。なお、中綴じはのりを必要としない構造のため、印刷コストが安いというメリットもあります。

この中綴じをするとき、紙のずれが起きてしまいます。そこで、本の断面をきれいに切りそろえる「化粧断ち」を行います。この作業は、定規とカッターがあればできるので、手作りの同人誌でも応用できます。

まとめ

今回はデザイン入門の初回ということで、本に関する知識を紹介しました。「天」「小口」「地」「のど」など、初めて聞いた言葉もあったかもしれません。デザインの知識が増えると、同人誌制作がもっと楽しくなると思いますので、ぜひ覚えてみてください。

編集部コメント

今回の記事を読んで、ほんの各部分の名前を詳しく知ることができました。「ノンブル」の語源がフランス語とはびっくりです!次回の「同人誌デザイン入門編」のテーマはフォントです。



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