同人誌デザイン入門編(3) 色の基礎知識:色に関する用語と配色の基本を紹介

ライター : 上林将司

本を作って同人イベントに出展したことがある人なら、「どんな色の表紙にすれば、手に取ってもらえるのかなあ」など、「配色」に悩んだことがあるかもしれません。目立つ表紙を作りたいなら全面を「真っ赤」にする方法もありますが、できれば本の内容や伝えたいことを考えた上でベストの配色にしたいのではないでしょうか。そこで、今回は知っておくと役に立つ、「色」について基礎知識を紹介していきたいと思います。

色の種類を知ろう

最初は、「有彩色」と「無彩色」、そして「暖色」と「寒色」など、色の種類について紹介します。配色の例も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

有彩色と無彩色の基本

 有彩色は色味がついていて、無彩色は色味を持たない

有彩色は色味がついていて、無彩色は色味を持たない

色には「有彩色」と「無彩色」があります。有彩色は、赤、青、黄色のような色味を持つ色を指します。無彩色は白、グレー、黒といった色味を持たない色を指し、「白黒」や「モノクローム」(略してモノクロ)などと呼ばれています。

寒色と暖色の基本

色相環の例。色を一覧できるので、配色するときに手元に用意しておくと便利です。  ?

色相環の例。色を一覧できるので、配色するときに手元に用意しておくと便利です。 ?

色には見た目で暖かく感じる「暖色」と、冷たく感じる「寒色」があります。そして、そのどちらにも属さない「中性色」があります。

色相環(しきそうかん)という、色の順番を決めて円環にならべたもので見ると、暖色は赤色や橙色などで、反対側にある青色などが寒色になり、そのあいだにある色が中性色となります。

色の三属性を学ぼう

色は、種類を表す「色相」と、明るさを表す「明度」、そして鮮やかさを表す「彩度」という3つの属性から成り立っています。これを「色の三属性」といい、明度と彩度が似ている色を集めたものを「トーン」と呼びます。まとまった配色をしたいときに同じトーンの色を使うと、違和感のない色彩になります。これは、プロもよく使うテクニックの基本なので、覚えておくと便利です。ここからは、色の三属性についてご紹介します。

色相の基本

Adobe Photoshop CCにある「色調補正機能」では、色相を調整できる

Adobe Photoshop CCにある「色調補正機能」では、色相を調整できる

黄色、橙色、赤色、桃色……といったような色の様相の違いのことを色相といいます。画像の虹色のようなグラデーションは、グラフィックソフトなどでは色を調整するときなどのインターフェースによく使われています。私が使っているAdobe Photoshop CCでは、色相を見ながら色を選べます。たくさんの色を使わければいけないレイアウトなどは、色相を確認しながら1色ずつ選びます。

明度の基本

明度は、色の明るさを表す数値で、高いほど明るく、低いほど暗い色となります。そのため、同じ色相でも、明度が高くなれば白に近づき、低くなるほど黒に近づきます。

彩度の基本

彩度とは、色の鮮やかさを数値で表したものです。彩度が高くなると、純色と呼ばれる「その色に一番見える鮮やかな色」に近づきます。逆に低くなると、無彩色に近づいていきます。

光の三原色と色の三原色

光の三原色と色の三原色は、似ているようでかなり違う。

光の三原色と色の三原色は、似ているようでかなり違う。

色は、原色と呼ばれる色を組み合わせることで構成されています。普段、PCやスマートフォンなどで見ている画面は、「光の三原色(加法混色)」で表現されています。一方、書籍など紙の印刷は、「色の三原色(減法混色)」で表現されています。ここでは、その2つの三原色について紹介しましょう。

光の三原色とは

光の三原色は「赤(Red)」「緑(Green)」「青(Blue)」で構成されており、「RGB」と略されます。色彩はとても鮮やかで、これらの原色を重ねていくと、最終的には「白」になります。一般的なグラフィックソフトなどは、ディスプレイ上で作業するので、基本設定がRGBモードのことが多いです。

色の三原色とは

色の三原色は色材の三原色とも呼ばれ、「黄(Yellow)」「紅紫(Magenta)」「青緑(Cyan)」からなり、これらの原色を重ねていくと最終的には「黒」になります。混ぜていくと黒くなるのは、絵の具などでも経験したことがあると思います。なお、印刷所で行うカラー印刷では、さらに「黒(Black)」を混ぜて、「CMYK」の濃度の組み合わせで、あらゆる色を表現し印刷しています。

同人誌印刷で注意すべきことは?

本の印刷は、色の三原色が使われます。ですから、PCのディスプレイを見ながらRGBでカラーイラストを描いた場合、そのまま入稿して印刷するとPCで見ていた色と全然違うことがあります。

そのため、同人誌印刷を多く請け負っている会社のWebページには、「入稿時のデータはカラーをCMYKにしてください」と書かれていることも多いです。RGBとCMYKの発色の違いは、お使いのパソコンやプリンタによっても異なりますので、少しずつ覚えていってください。

同人誌用のイラストを描くときは、最初から色の設定をCMYKにしておくと、画面と色の違いを抑えることができます。印刷はCMYK、ディスプレイで見せる作品はRGBで作成するといった使い分けもすぐにできるようになりますよ。

配色の効果を知ろう

次は配色についての考え方を紹介します。色の効果や色相を使った配色、色の組み合わせによる効果など、知っておくと便利ですよ。

代表的な色と効果

ここからは、色の効果をいくつか挙げていきましょう。これは、私がデザインで使用する際にイメージする色の印象ですが、人によって違いがありますので参考程度にとどめて、自分なりのイメージを作ってみてください。

白:清潔感を想起させ、フラットな印象になります。赤:情熱的な印象を与える、または注目を浴びて目を引く効果があります。青:清潔感やクールな印象を与えます。青みを薄くしていくと、さらにクリアな印象となります。緑:自然を感じさせたり、真面目な印象を与えたりする効果があります。紫:暗めの紫は大人びた雰囲気を演出でき、明るめの紫は不良っぽさを感じさせます。黒:黒の面積が大きいほど落ち着きが増し、引き締まった印象となります。

代表的なトーン

トーンの一覧。配色する際に手元に置いておくとスムーズに色を決められる。

トーンの一覧。配色する際に手元に置いておくとスムーズに色を決められる。

先程ご説明しました「トーンの種類」をまとめました。右端の円環「Vivid(ビビッド)」は、「純色」または「原色」ともいい、その色の最も鮮やかな状態です。そこからすぐ左隣の「Strong(ストロング)」は、ビビッドに比べて明度はそのままに若干彩度が落ち、少しおとなしい雰囲気となります。さらに、右へ行くにつれて鮮やかさがなくなり、右上の円環「Pale(ペール)」は、女性的でファンシーな色味になります。

有彩色と無彩色を使った配色

有彩色と無彩色を使ったとき、相反する色を入れると見やすくなる。

有彩色と無彩色を使ったとき、相反する色を入れると見やすくなる。

配色において、有彩色と無彩色の使い分けは非常に重要です。有彩色同士は、組み合わせることで派手にしたり地味にしたりできますが、一歩間違えると見にくくなります。逆に無彩色はどんな有彩色にもなじむという性質があります。例えば、有彩色同士が組み合わさって見にくい場合、有彩色の中間に無彩色を入れることで見やすくなります。

同様に、無彩色ばかりで構成し、ワンポイントで有彩色を入れると、見やすくなります。また、そのワンポイントがアクセントになりますので、「ここを見てほしいと」いったときに使いたいテクニックです。

有彩色と無彩色を組み合わせることで、スムーズな配色ができます。ですから、まずは組み合わせの効果だけでも覚えておくと、見にくい配色を回避する方法として使えるでしょう。

暖色や寒色を使った配色

暖色は暖かみがあって、健康的な印象があります。食品系企業、飲食店などが利用するのは、ほとんどが暖色系ではないでしょうか。例えば、牛丼チェーン店やファミリーレストランなどは、イエローからオレンジ、そしてレッドへと並べる色使いがよく見られますし、ラーメン店などで黒文字に赤いワンポイントといった配色もよく見ることができますね。寒色はクールで知的な印象がありますから、コンピューター系企業やそのサービス、車メーカーなどに寒色を使っているロゴが多く見られます。

補色を使った配色テクニック

色相環で反対に位置する色は「補色」といいます。

色相環で反対に位置する色は「補色」といいます。

上の画像のように色相環でわかるように、隣り合った色同士は、よくなじむ配色になります。また、対極に位置する色は「補色」を組み合わせると、互いの色を目立たせる効果が得られます。配色に悩みがちな人は、この色相環を眺めながら、なじむ色や引き立たせる色などを決めるのもありだと思います。

まとめ:積極的に配色を楽しもう

色の基礎を覚えると、配色のセオリーが見えてくると思います。例えば、「赤いリンゴ」をメインにした本の表紙をデザインしようと思ったとき、「背景に補色を使ってみよう」とか「無彩色を背景にして赤いリンゴを目立たせてみよう」といったアイディアを簡単に思いつくことができるようになるでしょう。配色に対して苦手意識を持っている方は、ぜひこの基礎知識を活用してみてください。そして、少しづつ自分の好みの配色に挑戦してみてください。意外性のある配色で成功したときの達成感は、なかなか良いものですよ。

編集部コメント

色選びや色の組み合わせはいつも難しいと感じていました。このような基礎的なルールを覚えておくだけでも、まとまりを持たせることができそうです。

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